「えっ、わたし？何をすればいいの？なんにも 　できないわ、ダンスも歌も、下手くそだし・・・。」 　「だいじょうぶです。とにかく、ステージに 　あがってください。何をすればいいのか、自然に 　分かります。」 　　太った中年の女性が、堂々とステージから 　下りてきました。客席の目が、じっとわたしに 　向けられています。 　どうしたらいいのでしょう・・・。こうなったら、仕方 　ありません。わたしは、覚悟を決めて、ステージ 　に上りました。 　「それでは、雨の女王コンテスト、最後の候補者 　です。どうぞ、準備ができたら、始めてください。」 　　司会者が、舞台袖から言いました。 　　まったく、どうしてこんな場所に来てしまったんで 　しょう。雨の女王コンテスト？そんなもの、聞いたこと 　もありません。いったいわたしはどうすればいいの 　でしょう・・・。心臓がドキドキと鳴り始めます。客席は 　静まりかえって、じっとわたしを見つめています。 　（あぁ、神様・・・。）