「いらっしゃいませ！」 　わたしは、倒れこむように、カフェの椅子に 　腰をおろした。何だか、落ち着かない店だ。 　黒と黄色のユニフォームを着たウェイトレス 　が、パタパタと忙しそうに店内をとびまわっ 　ている。 　「お客様、何になさいますか？」 　黒いサンバイザーの下から、可愛い女の子 　がにっこりと微笑んだ。 　「何か、冷たいもの。そうね、アイスティー 　をちょうだい！」 　「アイスティーですね。それでは、はちみつは 　何にいたしましょう？」 　「はちみつ？」 　女の子は、ずらりとはちみつの種類が 　書かれたメニューを差し出した。アカシア、 　タンポポ・ハナモモ・ラベンダー・・・と、 　延々と百種類以上の花の名前が並んで 　いるのだ。