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　アップル王国のジンジャー姫は、大の林檎好きでした。
どのくらい好きかと言うと、朝、昼、晩、全部林檎でもいいくらいです。
ですから、お城の料理長プルは、林檎のメニューを一生懸命考えました。
アップルパイに、アップルケーキ、アップルクッキーに、アップルジュース、
アップルコンポートに、アップルスープ、アップルステーキ、アップルパエリア・・・。
プルの腕は、とても良かったので、姫の食卓は、いつも林檎のいい匂いで
いっぱいでしたし、その味も美味しいしで、もう姫はいつも大満足でした。もちろん、
生でそのまま食べる林檎も、大好きなんですけどね。
　そのため、アップル王国には、林檎の果樹園がたくさんありました。
　
　さて、そんなある日のこと。姫は、ちょうど城に滞在していた吟遊詩人から、ある
噂を聞きました。
「姫。それはそれは大きな林檎が、あるのです。」
彼は、姫の瞳をじっと見つめながら言いました。姫は、「り」と聞いただけで、もう
頭の中は「林檎」のことで、いっぱいになりました。
「そ、それは一体どこにあるの？」
「それは、世界の果ての国にあるのです。」
「世界の果てって、何処なのですか？」
そう姫が聞き返すと、詩人は答えました。
「それは・・・」
「それは？」
「それは・・・・」
あんまりじらすので、姫は怒り出しました。
「もう！　いつまで、もったいぶっているの！」
これには、詩人もたじたじ。慌てて答えました。
「それは、ここから山を百以上越えなければいけません。」
「百以上ですって？」
これには、姫もびっくりしました。でも、すぐに大きなりんごが頭の中に浮かび、
ごくりと唾を飲み込みました。