まもる あの晩 緩和ケア病棟の一室で 父と息子は ”男同士の会話”を したそうですね おかあさんには内緒だよ なあんて あなたは言ったらしいけど お人よしの息子は こっそり 教えてくれました おかあさんみたいな女を 見つけろよ あんなにやってくれるひとは いないぞ そんなふうに あなたが言ってくれたこと あの晩 父と約束したことを 息子がいくつ 覚えているかなんて 知りません でも ちゃあんと わかっています あなたの言葉は 息子の中から これからも ずうっと わたしをまもって くれるってこと （２００９年『詩とファンタジー』第６号掲載）  |