（ふう。）と玄関でため息をついたとき 　です。 　　わたしはリビングの床で、ゴロリと横に 　なりながら、古びた詩集を読んでいる 　“わたしの影”を発見したのです。 　「ちょっとあなた！何やってるの？こんなところ 　で・・・。」 　わたしが影をにらみつけると、影のわたしは、 　けだるそうに起きあがりました。 　「ス・ト・ラ・イ・キ」 　影は、わたしにそっくりの、やや頼りない声で 　答えました。 　「悪いけどあたし、あなたの影でいるのは嫌に 　なったの。毎日毎日、買い物やくだらない 　おしゃべりばかり・・・。それに・・・。」 　と、影は裸のお腹のあたりを、さも気持ち悪 　そうにつまんで言いました。