ヤギ男に連れられていった体験先は、隣りの県の 　郊外にある、静かな動物園だった。 　「シマウマ」と書かれた檻に私を招き入れると、ヤギ男は、 　シマ模様の着ぐるみを差し出した。かなり、精巧に作られて 　いるようだ。 　「これを着るんですか？」 　「そうです。最高のシマウマ気分が味わえますよ。ちょっと 　暑いかもしれませんが、ダイエット効果は抜群です。」 　　　シマウマの着ぐるみは、部分的に、かなりきつかったが、 　ヤギ男の努力で、やっとのことで、おなかのファスナーも 　閉じられた。 　「いやあ、最高にお似合いです。できれば、二本足でなく、 　四本で立っていただけますか？」 　　檻の中から見る動物園の風景は、とても新鮮だった。 　　着ぐるみは、暑くてきゅうくつだったが、向こうから幼稚園児 　の一団がやってくるのを見て、私はきちんと胸を張り、最高に 　見やすい角度で、檻の近くに立った。