魔女屋 　　　　　　　　絵：沢井　楓 　　　　　　　　文：おびき　みつこ 　　私達が”魔女屋”を始めたのは、ごくささ 　いなきっかけからだ。 　　その春、そろって男にふられてしまった 　私とフキ子は、向かい合ってせんべいを 　かじりながら、雑誌をパラパラめくっていた 　のだ。 　　「あーあ・・・。いっそのこと、魔女になり 　　たい！」 　　バタリと仰向けになって天井を見つめて 　いる私に、フキ子が一枚の紙をヌッとさし 　出したのだ。 　　「じゃ、こんなのはどう？」 　それは、何と魔女装束を着た私のスケッチ 　だった。つばの広いトンガリ帽子。ひだが 　よって高く立った襟。たっぷりとしたマント。 　　「いいよこれ！フキ子天才！」 　　私は、思わず起きあがって叫んだ。