あの日から、時々、青鬼と私は、大豆をポリポリかじりながら、次に行く 予定の家について、あれやこれやとおしゃべりするのだ。 なかなか条件のぴったりくる家というのも難しくて、当分引っ越し先は 決まりそうにない。私は、こんなふうに、ハンサムな青鬼とひまつぶし するのも悪くないなと思いつつ、時々じっくりと青鬼の身体を観察するのだ。 ちゃあんと、十分な栄養がとれているかどうか。 　来年の二月、歌舞伎役者のようにカッコよくなった青鬼を、私は大量の 豆つぶてで送り出してあげるつもりだ。 思いっきり大声を張りあげて。