青鬼 絵・若森　あんり 文：おびき　みつこ

あったかい、ある春の日のこと。私がひと仕事終えて、さあ昼寝だとばかり、リビングに入っていくと、 何とソファーに先客がいたのだ。しかも、青鬼が！ 　体中、まっ青な肌に、彫りの深い顔立ち。ウェーブした髪に、レモンイエローの美しい角。ひきしまった 体に、スラリとのびた長い脚、、、。何だかちょっと私のイメージと違うけど、現代の鬼はこんなふうなのかも しれない。 「ちょっと！」 　すっかり青鬼に見とれていた私は、無理にコワイ顔を作って言った。 「それは、私のソファーよ。それにあなた、ちょっと季節はずれだと思うけど、、、。」 　青鬼は、ブルーの瞳で私を見つめて言った。 「悪いけど、これは一年前から、ぼくのソファでもあるんだ。それに、ぼくがここにいるのも、ぼくのせいじゃ ない。あの赤鬼のインチキ不動産屋のせいさ。」 　青鬼はそう言うと、くしゃくしゃになった紙をとり出した。